日本においてIFAが成長していく可能性は大きいと言われています。
その前提としてまず顧客からのIFAへの需要という観点と、他の金融機関からIFAへの転身やIFAを活用するという供給の観点が挙げられます。
「IFAと証券会社」でも触れたように、IFAの特徴として以下のものが挙げられます。
IFAの特徴
- ①特定の金融機関に所属せず独立した立場にあること
- ②自社運用商品販売のしがらみがなく、顧客と利益相反が生じないこと
- ③金融機関のようなノルマがないこと
- ④会社都合の転勤がなく、顧客と長期にわたる接点が可能なこと
こうした立ち位置や自由度を活かし、例えば相続対策の場面などで機械的に出された答えではなく、私は実際にはこうしたいといった意図をくみ取ってアドバイスをするという顧客に寄り添う取り組みをが可能であるため、社会からの支持は増えていくことが見込まれます。
IFAを担う供給の観点からは、証券会社社員の中からIFAへの転身を希望するアドバイザーが増加傾向にあります。
また、保険代理店における保険・証券の総合コンサルティングに対する有用性の認識が拡大し、保険代理店とIFAを兼業したり、会計士・税理士事務所等におけるIFA活用による顧客対応力の強化の点から会計士や税理士でありIFAでもあるといった従来の証券会社であればカバーしきれない領域まで一括でカバーできる、そんなアドバイザーが増加しており、多方面からの供給が可能となっています。
そんな多種多様なIFAの拡大が期待される一方、課題も存在します。
例えば顧客からIFAへの価値・認識が高まらないこと。
この可能性については、IFAが顧客に提供する価値そのものの点と、顧客がIFAの特徴に関する情報にアクセスしてIFA自体を認知するという両面があります。
前者については、顧客に寄り添ったビジネスを行うことで払拭されると考えます。
後者に関しては、各IFAがどのようなサービスを提供できるのか、IFAを利用する顧客が分かりやすくIFA同士を比較検討できるような情報開示も有用であると思います。
情報開示を通じて、優れたIFAの取り組みに対する認知が高まることが期待されます。
IFAの拡大による既存の金融サービスとは異なるアプローチは、利用者にとって大きなメリットになりうると思われます。
金融機関とは独立している立場上のメリット、経営の自由度があり、保険代理店や税理士・会計事務所との兼業可能な条件を活かしながら創意工夫をした顧客への提案ができるメリット、また特定の地域に密着してサービスを提供することでこれまで金融機関が十分にカバーできていなかった顧客層にもサービスを提供できるといったメリットがあります。
大手証券は富裕層・大企業特化にシフトしていき、金融商品の手数料低下が見込まれる中、IFAに移ってきた資産形成層に対し地域に密着した形で顧客本位の運用アドバイザーとしてその地位が認められると期待されます。